MOULTON APB レストアのご依頼頂きました。

チャンスがなくてずっと乗れてなかった車体です。
「ずっと乗れてなかった」モールトンではよく聞くワードですね。
まぁ大体の場合、消耗部品を交換して再調整すれば元通り、または元より快適に乗れると思います。
ご自宅にモールトンが眠っている方はお気軽にご相談くださいませ。

今回のベースになっている車体はAPB、現行のTSRシリーズの前身ですね、元々はカンチブレーキが標準装備で太めのタイヤが入るように設計された車体です。
90年代〜2000年代に多く作られたモデルなので折しもマウンテンバイクが隆盛していた時代ですからその辺を反映しましてモールトンも太めタイヤなんです。しかもフロントサスペンションにはブーツまで付いてます。

今回のこの車体の場合はリアホイールが3段の内装ハブ+外装変速機という最近ではあまり見かけない機構を採用してまして、まぁ正直なところ内装ハブって重量も回転も重いですし、今後のメンテナンスのことも考えると内装ハブは無くして外装のみにしてもいいんじゃないかってことで検討しました。で、結局前後ともにホイールを組み替えています。(ハブはシルバーでメンテナンス性が良くて、ご予算もほどほどで、などなど検討の結果シマノ製のものにしました)

モールトンのホイールはサスペンションがある前提で組みますのでカッチリ硬めに組み上げるのが良いです。(個人の感想です)
なのでスポークはDTチャンピオンの2.0mm、3クロス組みにしています。
硬く組んだ方が良いっていうのはあくまで私個人の感想ですけど共感してくれるプロの方も多いので多分これで良いんだと思います。硬い方がサスペンションもより良い仕事をしてくれますしね。
ちなみにピカピカに磨かれたポリッシュのリムは弊社オリジナル製品。
タイヤはサイドのブラウンカラーがかっこいい&転がり抵抗や耐久性も十分なシュワルベ ビリーボンカーズです。
非常に味のあるホイール+タイヤの組み合わせになったと思います。カッコ良い&可愛い。


さて、いつも通りまずは分解から。
BBやヘッドもおそらく購入してから全くノーメンテだと思われますので、外して洗浄&グリスアップですので、外せるものは最初の段階で全部外してしまいます。

かなりの埃が積もってますが、旧車復活にはつきものです。(ちょっとワクワクしますよね。)

生命の痕跡が・・・・。

ちなみにリアスイングアームのピポッドは特にガタも出ていないようですので今回は手をつけませんでした。
メンテの必要がある場合はブッシュと軸など一式の交換部品がまだ手に入りますのでご心配なく。

複雑なフロントサスペンションも分解です。
複雑と言っても現代のマウンテンバイク用のサスペンションに比べたらとても簡素。
ヘッドチューブ内に長いスプリングとフォーク先端に樹脂ワッシャーがあって、樹脂ワッシャーの締めつけ具合でダンパーの役割を調整します。
こんな簡単な作りですが、こういった素材使いの上手さがモールトン博士の真骨頂。
特にクルマのMINIでも採用されていたリアサスのゴムの使い方とか本当はすごいんですけど説明すると長くなるのでまたの機会に。(Birdyやブロンプトン、KHSなどとは違う考え方です。)
フロントサスペンション分解後はしっかり洗浄して樹脂パーツとスプリング、ピストンは新品に交換します。

過去のモデルではスプリングの動きが悪くなることが結構多いのですが、今は対策部品が用意されているのでご安心を、っていうか20年以上前の車体ですけど今でも補修部品が手に入るってすごくないですか?
補修部品の供給が果たしていつまで続くのかわかりませんが、APBシリーズでフロントサスをメンテナンスした記憶がない方はいますぐご相談ください!

ハンドルまわりは元々のオーナーさんが選んだちょっと小ぶりなバックスイープのあるフラットバーでしたが、普段使いしやすいプロムナードバーに変更。
グリップ・レバー・ワイヤーも一新したのでだいぶ印象が変わりましたね。

モールトンは博士の設計思想の割と重要なポイントの1つに、あらゆる体格の方にもワンサイズの車体で対応できるように、というのがありましてフレームサイズは1種類のみです。
なので体格に合わせてハンドル周りを変更して乗り方に合わせたカスタマイズがおすすめです。

さて、そんな感じで樹脂系の消耗部品とグリスが塗布されてべっとり固まってしまっていた部分は全て交換&再調整、ホイール&タイヤもマルっと一新。
あとハンドルもよりゆったりと乗れる形状に変、となったレストアが終了。
逆にグリップや変速レバー、クランクとリアディレーラーなどはもう完全にビンテージな風合いなのでピカピカに磨き上げて現役続行です。状態が良いので磨きがいがあります。

クランクはかつてシマノと人気を二分したサンツアーの名品シュパーブ プロですね。

リアディレーラーはシマノ デオーレXT。こんなにピカピカなデオーレXTを見るのは最後かも。。。


はい、完成したらこんな感じ。
最終的には元のオーナーさんがお使いだったリアキャリア&バスケットもつけまして可愛い一台に仕上がりました。
元々きれいに乗って頂いていたのできっちり磨いてワックスがけもしまして高級車の風格が戻ってきましたね。
当初の埃だらけなのが嘘みたい(笑)

こんな感じで、ちょっと乗れていなかったモールトンの整備も承ります。
今回はかなりガッツリ、ホイールまで交換しちゃってますし、ブルックスのサドル・グリップその他諸々も追加しちゃったのでメンテナンス費用総額は20万円をちょっと超えました。
ご予算に合わせてサスペンションだけ、とかブレーキだけ、というった形でも数万円から対応可能ですのでお気軽にご相談いただければ嬉しいです。

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